スティーヴン・キング好きの読書日記
リーシーの物語 8月8日発売 上下巻 各2400円!(たっかー)
「亡夫が遺した愛の証とは? スティーヴン・キング最新作!」ということですが、骨の袋系でしょうか。
(ちょうどケッチャム読み終わる頃だなぁ、発売日)
待ち遠しいなぁ。今年はいい夏だ(笑)
回想のビュイック8〈上〉 (新潮文庫)回想のビュイック8〈上〉 (新潮文庫)
(2005/08)
スティーヴン キング

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ペンシルヴァニア州スタトラーの警察署のガレージに収まる、ビュイック8。
サンディ(分署長)が殉職した警官の息子ネッドに語る、一見ピカピカのクラシックカーに見えるビュイック8にまつわる話は、たくさんの謎と秘密を含んでいた。

読み終わったものの、なかなか感想が書けず・・と言うのも、これまでのキングのネチっこさも、期待を盛り上げる語りも、血湧き肉踊る理不尽な(時として破綻している)展開も、無いように感じられたから。本を開く時間をワクワクしながら待つ、というような事がないまま、アッサリと読了してしまった。
これまでのこういった作品の語り手は、一種使命感めいたものを持っていたのにサンディにはそれが感じられないからだろうか?
ビュイックに魅せられたネッドの父カートなら、もっと微熱を帯びた狂気の視点で語ってくれただろうか?
でもきっと、キングはそう言ったモノではなく、もっと違ったものが書きたかったんだろうと思う。ただ受け手の私がまったく別の期待をしてしまったんじゃないだろうか。

ビュイック8の謎のように、人生には答えの出ない問いがある。むしろたったひとつの、ゆるぎない答えの出る問いの方が少ないのに、人は答えを求めようとする。
若ければ若いほど、確たる答えに固執してしまう。でも、サンディほどは生きていないにしろ、私にも分ってきたことがある。正しい答えなど無いのだ。

帯の「グリーン・マイル」や「スタンド・バイ・ミー」で釣るような謳い文句や、先入観からくる「クリスティーン」の焼き直しのような物語を期待する思い込みを全部放り出して、もう1度読み直したら別の感想が出てくるかもしれない。(とにかくあの帯はヤリすぎだ(笑))
セル 上巻 (1) (新潮文庫 キ 3-56)セル 上巻 (1) (新潮文庫 キ 3-56)
(2007/11)
スティーヴン・キング

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グラフィックノベル作家のクレイは、自身の作品の商談のためボストンへ来ていた。
彼はまとまった商談に気を良くして、自分へのご褒美にと立ち寄ったアイスクリームスタンドで、恐ろしい光景を目の当たりにする。
ボストンの街中で、携帯電話を使っていた全ての人々が突如、凶暴な野蛮人と化す。パルス。

怒涛の143ページ一気読みです。ワクワクしましたよ、もう。
携帯ゾンビだなんて毎度ながらあり得ないってばキング、と思いいつつ読み始めたのに、すっかり逃げ惑うクレイの気持ちに同化。

第2章に入り、たまたまクレイと同じ場所に居合わせたトム、その後一緒に同行するようになった少女アリスは、市街地へと非難する。
この辺りから怪しくなるのです・・

そう、どうしてもあの「ザ・スタンド」と比較してしまう自分を発見する。
あらゆる場所で、携帯狂人が生まれたのならば、そのあらゆる状況が知りたい。クレイ一行だけではなく、パルスが発生した経緯、クレイが案ずる息子や、アリスの父、アメリカの様々な場所にいる様々な人々がどうやって狂人から逃げ惑ったのかを、知りたくなる。キングが書くであろう、その細かな描写を読みたくなる。
でも、話はクレイを中心とした小さな集団の周りから離れない。
もちろん、分量は買った時点で分かっているので、「ザ・スタンド」のように細部まで語られないことは分かっている。でも、求めてしまうのですよ、あの収拾がつかなくなるほど、膨大に脹らんだ枝葉の物語を。
そこが分かってからは、冒頭の勢いはどこへやら、終盤はいい塩梅にまとまってしまった。(それこそ、あり得ないじゃん的な、デウスエクスマキナ)
冒頭が好みな成り行きだっただけに、とても残念。
成熟しちゃったのかなぁキング・・それとも私がいつまでも成長しないのかな(笑)
トム・ゴードンに恋した少女 トム・ゴードンに恋した少女
スティーヴン・キング (2007/05)
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9歳の少女が森で迷う、ただそれだけの設定です。それなのにこの面白さは・・・。

トリシアは、ママが毎週末強制的に連れて行く小旅行で、毎回言い争うママと兄ピートのやり取りにうんざりしている。
ママは最近離婚したばかりで、ピートはその為に転校した学校に馴染めずパパの所に帰りたい為、ママに食って掛かる。
ハイキングに出かけた今回も、言い争う彼ら。トリシアの存在すら忘れた様子で口論に夢中になっている。
おしっこに行きたくなったトリシアは彼らに声を掛けるが、まったく聞こえない様子。「もういいわよ」とハイキングコースを外れ一人森の中へ入って行き・・・・
ここからはただひたすら、森の中でのトリシアの彷徨が書かれている。
レッドソックスの大好きなリリーフピッチャー、トム・ゴードンを心の支えとし、時に勇敢に、時に臆病に彼女は彼女なりの奮闘を始める。
ただそれだけなんです。(本当です)でもトリシアの心の動きや状況が手にとるように分かり、ただそれだけなのに本当に面白い。

帯には「スタンド・バイ・ミー」を彷彿とさせる・・と言うような書き方がされていたけれど、私には「ジェラルドのゲーム」か「クージョ」の少女版のように思える。
極限での心理状態、人間の本能。ゾクゾクしますね。
最後までモンスター出現も超常現象も起こらず、単純な「森に女の子一人」の設定のまま終わる本書。
これだけでこんなに面白い作品が書けるなんて、さすがキング。

初めてキングを読むのならば、こういった本から入るのがお薦めです。読みやすいし、ちょうど中篇といった長さもいい。
ちょうど文庫化もされたことだし・・しかし表紙は前の方が良かった気がします(笑)
骨の袋〈下〉 骨の袋〈下〉
スティーヴン キング (2003/08)
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30代半ばの作家マイクの妻ジョアンアは、ドラッグストアの駐車場で突然倒れた。悲しみに暮れるマイクは妻の最後の買い物の中から妊娠検査薬を発見する。
彼らの間には子供がなく、司法解剖で妻が妊娠していたことが発覚する。更なる悲しみに暮れるマイクは疑問も持ち始める・・どうしてジョアンナは一言もそれについて話さなかったのか??
妻の死後4年経っても、執筆出来ないマイクは、妻との思い出が詰まる別荘「セーララフス(セーラは笑う)」へ行く決心をする。

本書では作中なんども、ダフネ・デュ・モーリアの「レベッカ」の一文が繰り返される。

「昨夜私はまたマンダレイへ行った夢を見た」
この「レベッカ」は、イギリスの有名な貴族マクシミリアン・デ・ウィンターのもとへ後妻に入った「わたし」が、彼の所有する邸宅「マンダレイ」でそこかしこで感じる溺死した前妻「レベッカ」の影に付きまとわれる、繊細で女性らしい心理を巧妙に書いた名作。意味深です。
レベッカといえば、その中に私の好きな文がある。

「幸福というものは、あがなうことのできる持物ではなくて、一つの思考の性質であり、心の状態である」そう、しあわせってこういうことなんだよね。

骨の袋とは物語中に出てく登場人物のことだとキングは言う。現実の人間と比べると、小説の人物は所詮骨の袋だ、と。

霊的な描写満載なのに、読後は意外に爽やか。普通なら引いちゃうくらい霊的現象がてんこ盛りだけれど、そこはさすがキング、ぐいぐい読ませる。
ただ文字を追っているだけなのに、これほどまでにまざまざと情景が頭に浮かぶ文章を書けるのって凄い。
私にはマイクの顔も、セーララフスも、幼いカイラの愛らしさも手に取るように分かる気がする。
それが私のキング好きたる所以なのかも。
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Author:しゅう

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