スティーヴン・キング好きの読書日記
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(2008/07/30)
ジャック・ケッチャム

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約1年ぶりのケッチャム新刊。
タイトルからは中身がまったく想像できないんですが、「襲撃者の夜」のあとがきに載っていた短編集なんでしょうか?
昨年はガッカリさせられただけに(まぁ期待度が大きいから仕方が無いことだけれど)色んな意味でドキドキしますが、ま、何はともあれ夏の楽しみができた、っと♪
襲撃者の夜 襲撃者の夜
ジャック・ケッチャム (2007/05)
扶桑社
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あの衝撃の事件から11年。警官を引退したピーターズは、早朝にある事件が起こったことで警察から助言を求められる。
二人の女性が惨殺された。そして死体の一部と一緒に居たはずの赤ん坊も、持ち去られていた。11年前の「彼ら」の生き残りが起こしたと思われる事件。
あの時、混乱した現場で、被害者を「彼ら」と勘違いし射殺していたピーターズは、あの忌まわしい現場へ他の警官を引き連れてゆく。

「オフシーズン」の続編は、ある女性が帰宅しベビーシッターが惨殺された現場を眼にしたところから始まる。
いつものケッチャムのように、彼女が生と死の狭間でもがく事すらも許さない。彼女の意識と命はあっという間に断ち切られる。
序幕の場面で、女性と赤ん坊、そして老いた元警官が出てくるとなると、今回の標的はコレか、と。不安と期待入り混じります。
中心となる人物は、ディヴィット、エミリー夫妻とその赤ん坊のメリッサ、エミリーの友人のクレアとその息子ルーク。
クレアは離婚した元夫スティーヴンとの間に問題があり、ルークは両親の離婚に対してどこにもぶつけられない怒りを抱えている。
エミリーのもとへ身を寄せたクレアに、会いにこようとするスティーヴン・・暴力的な彼の訪問は不穏の影を投げかけるが、それは「彼ら」に襲撃されるとたちまち霧散してしまった。周到な恐るべき襲撃によって。

中盤から、これは「オフシーズン」と同じモノではないのだ、と気づかされる。描写は脚の付け根がムズムズするほどリアルだし、「彼ら」のリーダーである「ウーマン」(彼女が前回の事件の生き残り)の野生的な強さと、善悪の無い本能的な感情に圧倒されるけれど・・でも「オフシーズン」とは違う。
標的となったエミリーとクレアが、強いのだ。肉体的にではなく、精神的に。母は強し、とはよく言ったもんだ。
だから、展開にいつもの現実感がなくなっているような気がする。生き残る過程に不自然さがあるなんて、ケッチャムらしくない。
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「襲撃者の夜」
4月30日発売 扶桑社

「黒い夏」から約1年ぶりの新刊発売。
リゾート地で「食人族」に襲われた家族。極限世界を描くケッチャムの異常小説!ってことですが、ん?「オフシーズン」?
詳しくは扶桑社ニュースを→http://www.fusosha.co.jp/book/img/new.pdf
黒い夏 黒い夏
ジャック ケッチャム (2005/06)
扶桑社
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1965年のニュージャージー、スパルタで不良少年のレイはさしたる理由もなく、友人と恋人の前でふたりの見知らぬ女子大生を射殺する。
一人はその場で死亡、もう一人は4年後に死亡した。レイは容疑者にはなるものの結局事件は迷宮入りに。

登場人物の感情に同調してまもなく、容赦なくその人物が死んでいく異様な現実感。
しょっぱなからレイがアブナすぎで先の予想が出来ることが怖い。美貌の持ち主で自意識過剰、意のままに出来るとりまきしか身近に置かず、外見の重要さが第一。薄っぺらな人間が若いときにだけ限定で持てる危険な(?)魅力で他の人間を動かせると、信じている危うさ。
ケッチャムにしてはかなり長い583ページという分量。キング並みに細部まで個々の登場人物が語られていて、レイとティムとジェン(冒頭の事件を一緒に体験した三人)やチャーリーとエド(レイの事件を担当した刑事)など章ごとに主観が代わってどちらかと言うと展開遅いかも。
ただ。ただです。これだけ細かく書かれた人々の行く末が、この本の結末でどうなるかなー、絶対ケッチャムだからこうなるよなーと分ってて読むのはそれだけでも結構キツイ。狙ってやってるんだと思うよ、この分量は・・・(泣)

人の価値に「この人は生き残ってしかるべき」なんてものはないと知ってはいるけれど、それでもやはり創造の世界ではヒーローやヒロインは死なないもの、と何故か小さい頃から思わされていた。(そうでしょ?)
そして、今のほほんと平和に生きている私は、災害時にでもなんとか生き残れるだろう、と根拠のない自信を持っている。
でも、実際はきっと真っ先に死んじゃったりするんだ。大概の人は、なんの物語もなく、あっけなく、死ぬんだと思う。
これを思い知らされるから、ケッチャムが好き。「生きる」ということに焦燥感をもたらせてくれる作家はケッチャムだけだと思う。
オンリー・チャイルド オンリー・チャイルド
ジャック ケッチャム (1997/06)
扶桑社
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家庭という閉鎖的な空間の中で繰り広げられる虐待ほど、怖いものはない。
主人公のアーサーは幼児期から母親に虐待を受け、暴力的な「ワル」に育つ。
バツイチで内気な女性、リディアと出会い結婚、息子ロバートを授かる。
結婚後その暴力性を家庭の外で発散していた彼は、ついにリディアにもその内面を見せ始め、リディアは恐怖に怯える。
一方ロバートも妙な仕草をリディアの前で繰り返すようになった。チックの症状と就寝時の脱糞。
困惑するリディアはロバートが示すその思いを推し量ることが出来ずにいた。
ある時口論からアーサーに殴打され殺されそうになり、リディアは遂に離婚を決意、親権のみを要求し離婚は成立する。
そして週末ごとのロバートとアーサーの面会で、リディアは恐ろしい事実を目の当たりにする。
ロバートの数々の奇行は、アーサーから受けた性的虐待を母に無言で伝えたいからだった。

8歳の我が子に性的虐待。
これまでのケッチャムが扱ったどの残忍さよりも、このテーマが一番怖い。

ロバートを救いたいが為に必死で行動したリディア。彼女の気持ちと憤怒に感情移入して読み込むと、結末がリアル過ぎて泣きたくなるほどだ。(いかにもケッチャムらしい)
とにかくドッと疲れた本だった。いつもながら薄いのに、見た目に反してその重さはかなりのものだ。
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Author:しゅう

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