スティーヴン・キング好きの読書日記
クリスマス・プレゼント クリスマス・プレゼント
ジェフリー ディーヴァー (2005/12)
文藝春秋
この商品の詳細を見る

ディーヴァー初の短編集。
これまで長編のディーヴァーは何作も読んでいるけれど、細かい背景や心理描写がなくてもディーヴァー節は冴えるのか?と半信半疑で挑んだ。
帯に「どんでん返し16連発」(花火じゃないんだから(笑))とあるように、ディーヴァーと言ったらどんでん返し、こっちもそれを理解してるからストーリーを素直に読まない。
きっと返されて更に返してくるだろう、くらいの読みを働かせるものの、ディーヴァーも読者の気持ちを知ってるようで、そこを更に斜め横くらいに返す(笑)
完璧にヤられたのは「三角関係」だ。こちらの思い込みを存分に生かしてる。

夫を失った悲しみにくれる女性。「ジョナサンがいない」
ドラッグストアで強盗をし、人質を連れて逃げる犯人。「ウィークエンダー」
亡くなった夫の会社を立て直そうと奮闘する未亡人。「パインクリークの未亡人」
妻の浮気に疑心暗鬼になる夫。「宛名のないカード」
娘をストーキングする少年に激怒する父。「ひざまづく兵士」
そしてなんと言っても本書の目玉、書き下ろしのリンカーン・ライム「クリスマス・プレゼント」
それぞれに旨い。ディーヴァーを味わいつくすならやはり長編だな、という気はするものの、短編でも彼の良さを堪能。
ただしやはり軽い読み物になっているので、読み返すには値しないかも・・とは言いつつも楽しい読書の午後を満喫できた。
魔術師 (イリュージョニスト) 魔術師 (イリュージョニスト)
ジェフリー・ディーヴァー (2004/10/13)
文藝春秋
この商品の詳細を見る

原題は「The Vanished Man」
私はイリュージョニストよりもこっちの「消された男」の方が良いと思う・・

アッパーウェストサイドにある音楽学校で女子学生が殺される。
密室から忽然と姿を消した犯人はマジックの心得がある、と断定され、マジシャンのカーラの協力を得て、いつものメンバーが捜査に乗り出す・・・

さすがに5作目ともなると、私もどんでん返し慣れしてきてて、ディーヴァーにいつも味わわされる「え?うそ?!」が少なかったような・・
それに今回は相手がマジシャン、それこそ何でもアリなわけで(笑)
しかし一応ストーリーに破綻なく最後まで伏線を生かしきった筆致はさすがのディーヴァー。
最後のどんでん返しのため(?)に今一歩深く犯人像を描ききれなかったかも、と思うと残念。
そして初期のライムと比べて被害者の恐怖があまり書かれていない。
「ボーン・コレクター」で蒸気の管を見つめるT.J.の恐怖が未だに忘れられない。
それと犯人の描写を書かせたらディーヴァーに並ぶ作家は居ないんじゃないかなぁ。

「石の猿」の後、ライムシリーズ以外の作品を挟まずに続けてライムを書いた本書。
ディーヴァーが言うような「デヴィット・カッパーフィールド+ハンニバル・レクター」とまではいかないにしろ、かなりの強敵とライムを対峙させたのは確か。
石の猿 石の猿
ジェフリー・ディーヴァー (2003/05/31)
文藝春秋
この商品の詳細を見る

中国から米国への密入国を斡旋している蛇頭の「ゴースト」は、数十人を乗せた密輸船に同船していたが、その船がライムの推理によって、前もってアメリカ当局に察知されたことを知ると、悪天候の中、船を爆破し密入国者を船室に閉じ込めたまま船を沈没させる。
機転で船底の船室から脱出できた2家族は、必死に救命ボートで岸へ向かうが、彼らの脱出を知ったゴーストは証拠隠滅の為に自らも別の救命ボートを繰って彼らを追う。
辛くも逃げ切った密入国者、追跡を諦めてマンハッタンの隠れ家に篭るゴースト、そして彼らの残した痕跡を、アメリアとライムが追う。

船室からの間一髪の脱出、海での追跡劇、嵐の波間に見え隠れする敵。
私は溺れることに非常な恐怖心を持ってるので、これは身に迫って怖かった。
鼻や肺に無理矢理入り込んでくる海水や、波に成す術も無く翻弄される人間の描写がリアル。
自分の推理の甘さから、ゴーストの船爆破を予知できなかった(大勢の密入国者を殺した)ことを痛切に悔やむライムは、捜査に一層の力を入れる。

いつものディーヴァーの如く、読み出したら止まらない。
確かにどんでん返しに至るまでのご都合主義も目につくが、それもたいした問題じゃないと不思議と思えてしまう。(贔屓目だね)
「ディーヴァーにはどんでん返し」を前提に読んでる読者を欺くような返しの返しも面白く、一気に読み終えるのは勿体ない。
今作の最大の見場は沈没した密輸船に鑑識をするシーン。
海底30メートルの暗所、閉所にあらぬ妄想をもって怯えるサックス。そして彼女とライムとの間の苦悩がリフレインする。
さらに深まっているライムとサックス絆も見所。
青い虚空 青い虚空
ジェフリー ディーヴァー (2002/11)
文藝春秋
この商品の詳細を見る

護身術のHPを持ち、公演までするある女性が、何者かに惨殺される。心臓をナイフで貫かれて・・・
犯人は、その女性の生活や行動パターンを熟知し、EメールやHPをハックしたクラッカーであると判明。
市警は服役中のハッカー、ジレットに捜査の協力を要請。のっけからコンピュータ用語が所狭しと並び、5年前だったら半分以上理解できない内容。
ほぼ4分の3までで、ディーヴァー、小出しにどんでん返しを出す出す(笑)
ジレットのハッカーとしての優れた能力と、市警の担当刑事ビショップの刑事としての優秀さが相まって、文句なしに面白い。

本の中で犯人が使う「トラップドア」と言うハッキングプログラムは、ネットの危うさを警告している。
オンラインして居る人間のプライバシーは無い?多分このトラップドア存在していないんだろうけど、それも数年も要さずに、こういうプログラムは作られてしまいそう?
そしてそう思わせるディーヴァーの取材力、題材の研究は素晴らしい。この人一年置きにライムシリーズ、新作と出版してるけど、いったい何時取材してるのだろうか?

そしてディーヴァーの登場人物は、実に愛すべき人物が多い。主人公のジレットも、ズボンからいつもシャツをはみ出させている市警のビショップも、ライムやトム、サックスと同じように「次回作も見て見たい!」と思わせる描写。
そしてやはり今回も、犯人の内情にも同調できるくらいの、内因表現に脱帽。
こうじゃないと犯人はただの平板な「悪」でしかなく、作品の重さが違うように思う。

犯人が何故「青い虚空」(『the blue nowhere』は、電脳空間サイバースペースを意味するディーヴァーの造語)にのめり込んで行くようになったのか、どうやって他の人間にすんなりと成りすます技を磨いていったのか、細かい描写で納得できる。
もちろん、追い詰める側のジレットの心情や別れた妻との葛藤、担当刑事たちの細かい家庭事情なども。それだけ書いてもクドくならないのがさすがディーヴァー。
コフィン・ダンサー〈上〉 コフィン・ダンサー〈上〉
ジェフリー ディーヴァー (2004/10)
文藝春秋
この商品の詳細を見る

四肢麻痺の犯罪学者リンカーン・ライムが今回追うのは、棺の前で踊る死神の刺青を持つ暗殺者「コフィン・ダンサー」。
そしてその暗殺者が狙うのは大陪審での証言を控えた民間航空会社の社長パーシーとその夫。
周到な計画で標的に襲い掛かるダンサー。わずかな手がかりからダンサーの先を読もうとするライムとサックス。
互いが裏の裏を読み、読者をも欺くいつものどんでん返しは最高。
ダンサーが拘った過去の事件で何かを失くしたライム、自分の会社を子どものように守ろうとするパーシー、そんな二人を見てライムへの愛情を確認するサックス。
べたべたではないロマンスを散りばめて、二転三転するストーリー展開。伏線がいたるところに張られているので息抜く暇もない。

ディーヴァーが描くキャラクターの思考に驚くほど共感できる。
ライム、サックス、パーシーのように、私もひとりで考え、物事の方向性を決めてしまうクセがあるが、結論に至るまでの思考が、まるで自分の脳内を探られているかのようで非常に居心地が悪かった(笑)
// HOME //  NEXT
Powered By FC2ブログ. copyright © 2005 bookshelf all rights reserved.
プロフィール

Author:しゅう

最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
カテゴリー
Amazon商品一覧
FC2カウンター

ブロとも申請フォーム
ブログ内検索

RSSフィード
リンク
By FC2ブログ