ヴェトナム戦争で写真家の父を亡くしたジョーダン・グラス。
父と同じ写真家になった彼女には、一年半前に失踪した双子の妹ジェーンがいた。
写真集を出す予定で訪れた香港の美術館で、ある絵画を見た彼女は愕然とする。
「眠る女」と題された、一般的には「死体」を描いているとされるその作品には、それまで死亡したものと諦めてきた、自分とそっくりな妹が描かれていたのだ。
冒頭は説明が多すぎ?な展開で少しげんなりするが、彼女がFBIの捜査に加わると俄然スピードが増す。
本来なら被害者の家族が捜査に加わることなど皆無だと思うが、ジョーダンはジェーンに瓜二つの一卵性双生児。
一連の「眠る女」を描く画家が、連続失踪事件に関わっているとしたら、モデルにした女性にソックリのジョーダンは捜査の切り札になる、と当局は踏む。
育った家庭、早い父の死、双子の確執、とジョーダンを作る環境は複雑だが、彼女にはそれ以外にも多くの謎がある。
主人公のジョーダン・グラスは非常に魅力的な40歳の女性だ。強さが良い具合に表現されている。
冷静な観察力と裏腹に湧き出す激情も、女性ならでは、な感じで共感が持てる。
作中で問いかけられる3つの質問。
「あなたが過去にした最悪のことは何だ?」
「人生でもっとも誇りに思った瞬間はいつか?」
「あなたの人生に起きた最悪のことは何か?」
これは自分を見つめ返すようで、非常にイヤな質問だ。
私は最初の質問にしか答えが見つからなかった。
他の二つはこれから答えが見つかるだろうか?
なんにしても客観的に、なんのヴェールにも包まずに自分を見るのは時として残酷かもしれない。
ジョーダンはこの質問に直接は答えていないが、作品を読み進めるうちに、おのずと答えが見えてくる。
彼女の過酷なこれまでの人生がとても哀れだ。
しかし・・・
後半の、犯人の独白?めいた展開は「神の狩人」のブラフマンか、こいつは(笑)と思わせてくれる。
アイルズの書くサイコパスは饒舌なのが玉に瑕・・・
そして最後の最後でデウス・エキス・マキナ!ああ、その章は要らなかったのでは?
それまでの展開やジョーダンの苦悩は、読者の同情は、どうなっちゃうのさ・・。あまりにも都合よすぎじゃないのか?
ラスト20ページでこんなに萎えてしまうとは・・・それまでが良かっただけに、本当に惜しい。