↑この「スティーヴン・キング絶賛!」の赤帯が強烈に目立つ一冊。
読もうか、否か迷ってたけど
kingdowさんお薦めだったのでイっときました。
半世紀前に貯水湖として水に沈んだ村が、渇水のために姿を現した。
水中に長い間浸かっていた家のぬかるんだ床下から、人間のものと思われる骨が偶然発見される。
上司との諍いが元でつまらないデスクワークを強いられていたバンクスが、この人骨発見の捜査に出向かされる。
一方、この人骨が発見されたことで動揺を隠せない人気作家エイムズリーは、昔封印した自伝的な小説を再び手に取った・・
生々しい臓物湯気立つ死体ではなく、半世紀前の白骨体が中心で、戦慄とか恐怖とか嫌に凝ったミステリ仕立てではなく、なんとなくのんびり進む展開。
だからと言って退屈なわけではなくて、エイムズリーの回想的な一人称で書かれる第二次世界大戦中の村での出来事と、現在のバンクスと現地警察官アニーの捜査が効果的に交互に書かれている。ゆっくりした展開なのに、惹き付けられる感じ。
全てを明かされないまま語られる謎に満ちた過去の村での生活、戦時中の苦労の中でも見え隠れする閉鎖的な空間。
そして家庭に問題を抱えちゃってる中年刑事、曰くありげだけど魅力的で芯が強そうな女性刑事。
それぞれがアク抜けしてる。分厚いし登場人物も多いけどゴチャゴャ感がないんだよね。(バンクスは辛そうだけど、別に悲壮感漂うって感じじゃないし、アニーも孤独だけどそれを否定したり嫌悪したりしてなくて、自分の生活に満足してるみたいだし、それぞれ人生色々あるけど話の展開の邪魔になってない気がする)
分量はかなりのもんだけど、それが過剰だったり物足りなかったり感じない調度良いものになってる。
途中まではバンクスの捜査の展開が気になって、回想を読むのがもどかしく感じられたのに、後半はそれが逆転していた。
全てが明らかになったエピローグでエイムズリーが感じる後悔の念。「もしもあの時・・」と彼女がこれから死ぬまで感じ続けるだろう気持ちは、彼女がしたことへの罰なのかもしれない。