スティーヴン・キング好きの読書日記
聖なる怪物 聖なる怪物
ドナルド・E.ウェストレイク、木村 二郎 他 (2005/01)
文芸春秋
この商品の詳細を見る

老いたる名優ジャック・パインが自宅のプールサイドで語る自らの半生。
舞台はソコから動かず、一人称で書かれたインタビューから、三人称のジャックの回想へと移り、また一人称へ戻る。
時折挿まれるインタビュアーの視点、インタビュー中に意識を失うジャックを介抱する執事の言動や行動から、おー何かあるんだなーこりゃ、と思わせられて、非凡・裕福・寄生・成功・自堕落な彼の半生を読み進んだ。
展開が移るにつれ、シーソーが交互に傾くような感じ。ジャックの独壇場?それとも・・・
解説が言うように「衝撃的かもしれない結末」が待っている。
いいねぇ、この「かもしれない」ってとこ(笑)
目から鱗が落ちるような衝撃ではないけれど、これはなかなか面白い本だった。
「斧」と「鉤」もリストに加えておこう。
蜘蛛の微笑 蜘蛛の微笑
ティエリ・ジョンケ (2004/06/10)
早川書房
この商品の詳細を見る

形成外科医のリシェールは愛人を自宅に軟禁し、彼女が陵辱される姿を好んで観る。
田舎モノのアレックスは銀行強盗で警官を殺し、誰も居ない農家で姿を潜める。
何者かに拉致されたヴァンサンは、地下室に監禁される。

別々に始まった展開が、ある一点で交錯し、融合し、最後には大きな奔流となる。
170ページ足らずなのでスルっと読了。視点を変えるとこれほどまでに物事は違った形で見えるのか、と改めて思わされた。
このミスに選ばれたらしいけれど、これはミステリ、と言うより「究極的」ラブストーリー。
渇いた季節 渇いた季節
ピーター ロビンスン (2004/07)
講談社
この商品の詳細を見る

↑この「スティーヴン・キング絶賛!」の赤帯が強烈に目立つ一冊。
読もうか、否か迷ってたけどkingdowさんお薦めだったのでイっときました。

半世紀前に貯水湖として水に沈んだ村が、渇水のために姿を現した。
水中に長い間浸かっていた家のぬかるんだ床下から、人間のものと思われる骨が偶然発見される。
上司との諍いが元でつまらないデスクワークを強いられていたバンクスが、この人骨発見の捜査に出向かされる。
一方、この人骨が発見されたことで動揺を隠せない人気作家エイムズリーは、昔封印した自伝的な小説を再び手に取った・・

生々しい臓物湯気立つ死体ではなく、半世紀前の白骨体が中心で、戦慄とか恐怖とか嫌に凝ったミステリ仕立てではなく、なんとなくのんびり進む展開。
だからと言って退屈なわけではなくて、エイムズリーの回想的な一人称で書かれる第二次世界大戦中の村での出来事と、現在のバンクスと現地警察官アニーの捜査が効果的に交互に書かれている。ゆっくりした展開なのに、惹き付けられる感じ。
全てを明かされないまま語られる謎に満ちた過去の村での生活、戦時中の苦労の中でも見え隠れする閉鎖的な空間。
そして家庭に問題を抱えちゃってる中年刑事、曰くありげだけど魅力的で芯が強そうな女性刑事。
それぞれがアク抜けしてる。分厚いし登場人物も多いけどゴチャゴャ感がないんだよね。(バンクスは辛そうだけど、別に悲壮感漂うって感じじゃないし、アニーも孤独だけどそれを否定したり嫌悪したりしてなくて、自分の生活に満足してるみたいだし、それぞれ人生色々あるけど話の展開の邪魔になってない気がする)
分量はかなりのもんだけど、それが過剰だったり物足りなかったり感じない調度良いものになってる。
途中まではバンクスの捜査の展開が気になって、回想を読むのがもどかしく感じられたのに、後半はそれが逆転していた。
全てが明らかになったエピローグでエイムズリーが感じる後悔の念。「もしもあの時・・」と彼女がこれから死ぬまで感じ続けるだろう気持ちは、彼女がしたことへの罰なのかもしれない。
シンプル・プラン シンプル・プラン
スコット・B. スミス (1994/02)
扶桑社
この商品の詳細を見る

雪の大晦日、両親の墓参に出かけた兄弟と兄の友人の3人は、ふとしたことから墜落した小型飛行機を発見する。
その飛行機の中に遺体と、4百万ドルもの大金を見つけてしまった彼らは、安全にその大金を山分けする「プラン」を立てるが・・・

のっけから転落の道筋が見えていて、細かい状況が何にもまして彼らに圧し掛かるのがよく分かる。
「普通の人」僕ことハンク・ミッチェルと大柄で失業中の兄ジェイコブ、ジェイコブの粗野な友人ルー。
こんな人たちにそんな秘密は無理だって!と声を大にして言いたい衝動が(笑)
しかし、降って湧いた大金というものは人の運命や性格を十分変えうるものなのだなぁ。自ら稼いだ金ならこうはなるまい。
善良な人が誘惑に駆られたらこうなるだろう、というハンクの心理状態の推移が怖い。そして、追い詰められた人がとる行動も。
なんかスティーヴン・キングの「最後の抵抗(Roadwork)」を思い出した。(あれも何気に嫌な展開で地味めに進むんだよな)
読後感は戦慄とかじゃなく、じわじわーっと嫌な気分が込み上げた。
なぜか「自分だったらどうするか」と考えさせられてしまう。
拾ったものは警察へ、って言うのはやっぱりキレイ事かね?(^^ゞ
ダンテ・クラブ ダンテ・クラブ
マシュー・パール (2004/08/26)
新潮社
この商品の詳細を見る

南北戦争直後のボストンで猟奇的な殺人が起こる。
生きながら脳を、体内を蛆に喰われて死んだ判事。
逆さに生き埋めにされ、地面に突き出た両足を死ぬまで燃やされた牧師。
ダンテの「神曲」を翻訳していた「ダンテ・クラブ」の面々はついに気付く。
その犯行はダンテが地獄編で見た劫罰を模したものだ、と。

冒頭の「蛆と判事」はかなりのインパクト。生きながら蛆に喰われていくだなんて、想像を絶する恐怖だ。
しかし、その後の各登場人物紹介のような展開がしばらく退屈。
ダンテ・クラブの詩人達、「神曲」を出版する出版社、猟奇殺人を追う警察、ダンテ翻訳を阻止したいハーヴァートのお歴々・・場面展開がいまいちなんだよね、劇的ではないので。
更に言うと犯人の描写もラスト近くに薄く出るだけで、残念。
劫罰を行う描写はあるものの、あまりにも第三者的なものなので犯人の実態というか雰囲気というか、その病んだ部分があまり見えない。クラブの面々が苦心してする捜査は丹念に書かれているだけに、対比として欲しかった。

確かに本書を読むと「神曲」を読みたい衝動に駆られる。でも・・「神曲」は気楽には読めない書物だよねぇ(笑)実際読みづらいし?
小説「神曲」みたいなの、あればいいのに。
// HOME //  NEXT
Powered By FC2ブログ. copyright © 2005 bookshelf all rights reserved.
プロフィール

Author:しゅう

最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
カテゴリー
Amazon商品一覧
FC2カウンター

ブロとも申請フォーム
ブログ内検索

RSSフィード
リンク
By FC2ブログ