スティーヴン・キング好きの読書日記
オンリー・チャイルド オンリー・チャイルド
ジャック ケッチャム (1997/06)
扶桑社
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家庭という閉鎖的な空間の中で繰り広げられる虐待ほど、怖いものはない。
主人公のアーサーは幼児期から母親に虐待を受け、暴力的な「ワル」に育つ。
バツイチで内気な女性、リディアと出会い結婚、息子ロバートを授かる。
結婚後その暴力性を家庭の外で発散していた彼は、ついにリディアにもその内面を見せ始め、リディアは恐怖に怯える。
一方ロバートも妙な仕草をリディアの前で繰り返すようになった。チックの症状と就寝時の脱糞。
困惑するリディアはロバートが示すその思いを推し量ることが出来ずにいた。
ある時口論からアーサーに殴打され殺されそうになり、リディアは遂に離婚を決意、親権のみを要求し離婚は成立する。
そして週末ごとのロバートとアーサーの面会で、リディアは恐ろしい事実を目の当たりにする。
ロバートの数々の奇行は、アーサーから受けた性的虐待を母に無言で伝えたいからだった。

8歳の我が子に性的虐待。
これまでのケッチャムが扱ったどの残忍さよりも、このテーマが一番怖い。

ロバートを救いたいが為に必死で行動したリディア。彼女の気持ちと憤怒に感情移入して読み込むと、結末がリアル過ぎて泣きたくなるほどだ。(いかにもケッチャムらしい)
とにかくドッと疲れた本だった。いつもながら薄いのに、見た目に反してその重さはかなりのものだ。
失楽園 上   岩波文庫 赤 206-2 失楽園 上 岩波文庫 赤 206-2
ミルトン (1981/01)
岩波書店
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神に闘いを挑んだサタンは敗れ、地獄に堕ちる。
サタンの味方についたほかの天使(堕天使)に向かい彼が言た叱咤激励、「一敗地に塗れたからといって、それがどうだというのだ?すべてが失われたわけではない」やばー、カッコイイ。
サタン側の言い分を聞くと、神は「我が物顔に君臨している圧制者」。
地獄で栄華を誇るか?
圧制者(神)を退け、再び天に返り咲くか?
会議によりサタンはもう一策を提案し、自ら実行する。
即ちサタン堕天の原因とされた神の寵愛を受ける「人間」界への介入。
地獄の門から混沌へ、そして人間界へと旅立ちエデンの近くまでやってきた魔王は、姿を偽り四大天使のひとり、ウリエルにその場所を聞き出す。
エデンの園でアダムとイブを見出した魔王は、彼らの姿に驚異する。
神の姿に似せて作られた人間は、魔王が在りし日と同じくらいの美しさに包まれていた。
魔王は彼らの会話から、かの「知識の樹」の実を食べることを神が禁じていることを知る。この好機を見逃すわけがない魔王。

「圧制者」ってのはホント言い得て妙だ。神はエデンのアダムとイブが、魔王に唆されるのをちゃんと予想しているのだ。でも、それを防ぐ手立てはしない。
ただ魔王と違い、人間自ら堕ちたモノではないので、救いはある、と説いている。で、すかさず御子が、私が人間の罪を背負います、とかなんとか言っちゃう。
なんと言うか、ゼウスもそうだけど、全能者って人間を実験って言うか、可愛がってるのかいたぶってるのか、愚弄してる。すなよ、まったく。
逆に人間味溢れるサタンへ同調・・・怒号し、統率し、欲望に燃え、悔恨し、自らの道を見直し、尚その欲望に突き進むサタン。

エデンに潜んだ魔王は、護衛の天使に発見され連行されてしまう。神は天使ラファエルに、魔王の介入を警告するよう、アダムへ使わす。
そして・・アダムはラファエルに対してこの世が生まれた始まり(創世記)を聞き、ラファエルはそれに対して答え、アダムにもこの世に生まれた当初を語らせる。
神は産まれたばかりのアダム(と言っても成人だけど)に言い聞かせる。「善と悪の知識の樹の実を食べるな」と。
食べると「死」が与えられると言うその実。神は「善と悪の知識」すら持たない人類に「敬え」と言う。
ラファエルは「心から謙り、かつ賢かれ」と言う。善悪の知識もない肉人形に敬え?それで神は何がしたいのだ、訳が分からん。
知恵を持つと死を意味する?神は何を恐れるのだろうか。全能者ならば、この後アダムがその実を食べることを知っているだろう。
死を与えられたアダムとイブの子、カインとアベルのことも。更にその後繰り返される数々の争い、妬み、誹り、全てご存知なのでは?
それらは全て罪故に課せられたものなのか?それとも悪の仕業なのか?それらを全て見通して、更にこれからも見続ける。救いは最後に与える。罪故に最後まで苦しめ、と?
これならば、まだgive-and-takeの悪魔の方がましに思えてくる・・?

時代性もあるんだろうけど、「彼女(イブ)の資質は支配されてこそ見栄えがするが、自ら支配権を揮うなどとは、見苦しい限りなのだ」と言う御子の一言は、本当にもう、なんだかなぁ。
女性はかくも従属した存在だったのだ。それこそが美徳とされた時代が長く続いた、ということだ。
かなり憤慨ものの描写もあるんだけど、やはりこの本は読んでおいて良かったと思う。

そしてこの平井正穂訳は、非常に素晴らしいものだと思う。豊かで美しく重厚な日本語訳。至る所に書き留めたい言葉が散りばめられている。
嘘、そして沈黙 嘘、そして沈黙
デイヴィッド マーティン (1992/08)
扶桑社
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実業家ジョナサン・ガエイタンとその妻の留守中に、家に入り込んだ「彼」。
サイコっぽく家中を物色し、好きなように振舞う「彼」はヒッチハイクで拾った「彼女」の手だけを、まるで手を繋ぐかのように持ち、ジョナサンの妻メアリーの持ち物を漁る。
時間を忘れ楽しんでいた「彼」はいつの間にか夫妻が帰宅したことに気づき、「彼」が潜む二階へと一人で上がってきたジョナサンを縛り上げる。
階下に居たメアリーをも巻き込み、「彼」は何をしたのか?
翌朝発見されたジョナサンは、血まみれの浴室で絶命していた。
メアリーの供述から自殺と思われたこの事件だが、警察署長は「人間嘘発見器」と異名をとった刑事テディ・キャメルに、この事件を「殺人事件」ではなく、穏便に「自殺」として断定するためメアリーの尋問を依頼する。
メアリーの尋問は読者を煙に巻く。「彼」の存在を一切語ろうとしない彼女。ジョナサンに付いていたロープの摩擦痕は、異常な性愛を行って自分がつけたものと説明する。
テディは彼女の嘘を感じ取り、尋問を続けたが、「ジョナサン自殺」は真実だと思う。
何故?「彼」が殺したんじゃないのか?それとも何か経緯があるのか??
「彼」の部分が三人称、テディの部分が一人称で書かれていて、客観的に「彼」の行動を辿れるのがいい。そしてどうしてもテディに感情移入してしまう。
このテディとディーヴァーの書くリンカーン・ライム(ボーン・コレクター等)も、パーカー・キンケイド(悪魔の涙)も、同じ部類。
素晴らしい知識を持っていても四肢麻痺だったり、離婚して子供を扶養して親権を奪われるのを恐れていたりする。
こういう「弱点」を持つ人間には、どうしてか感情移入しやすい。いくら高い能力を持っていても、自分と同じ「弱み」を持ってる「人間」なんだなぁと。

この「嘘、そして沈黙」の邦題、「Lie to Me」の原題を考えると(「嘘をついてくれ!」と叫ぶ、その状況を)、謎解きは分かりやすいかも。
最後にやっとじんわり暖かいものを感じられるこの作品は、サイコは苦手でもミステリ好きならきっと楽しんで読める筈。
人物描写も、キングとはまた違った感じで楽しめた。う〜ん、書く人が違うと、サイコもまた別の趣があるね。
ペット・セマタリー〈上〉 ペット・セマタリー〈上〉
スティーヴン キング、深町 眞理子 他 (1989/08)
文藝春秋
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キングお得意の「猿の手」がテーマ。(と、くれば自ずと見えてくるモノが・・)「あまりの恐ろしさに発表が見あわせられた」とも言われた話題作。

都会の競争社会を嫌ってメイン州の美しく小さな町に家族と共に越してきた、若い医者ルイス。
だが、家の前の道路は大型トラックがわがもの顔に走り抜け、輪禍にあう犬や猫のために「ペットの共同墓地」があった。
しかも、その奥の山中にはおぞましくも…。
ルイスが越した家から、子供たちが交通事故で死んだペットを葬る為の霊園へと繋がる小道があり、向かいの家に住む老人ジャドに案内されて、ルイス一家はそこへ足を運ぶ。
子供たちの手で整然とされたそこには幼い字で書かれた「Pet semetery」の文字が。人生で初めて「死」に直面した幼い長女は動揺し、妻はそのトラウマから激しく夫を非難する。
そしてルイスは大学の診療所での初日から、とんでもない患者を診ることに・・・。

ラスト近くのルイスは既に狂っていると言ってもいいと思う。でも・・最愛の人を失って、ルイスと同じ「蘇り」が約束されている状況下にあったら?私はどうするだろう。
本書でキングは、身近に在る「死」について細かく語っている。いつもの通勤で、家の前の道で、この食事で・・・至る所に「死」は潜んでいる。
今、生きていることは、死と紙一重なんじゃないか、日常にふとそう思うことはないだろうか。

『もしも今ここで、あなたの命が終わるとしたら、最後の瞬間、誰の顔を見ていたい?』

この質問に対して、一人の(もしくは複数の)名前が答えられる人は、本書のルイスの気持ちが痛いほど分かるに違いない。
評判違わず「恐ろしく且つ「愛」が前提の哀しい」作品だった。
老人と犬 老人と犬
ジャック ケッチャム (1999/06)
扶桑社
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題名から想像するような、ほのぼのした、とか感動の、とかそういった感情は沸き起こりません(笑)

メインの田舎町で雑貨屋を営む老人エイブリー・ラドロウは、妻に先立たれ愛犬レッドと二人暮し。
ある日いつものように川釣りを楽しんでいると、裕福そうな17、8歳の少年たちが現れた。
少年の一人はショットガンを担ぎ、エイブリーに銃口を突きつけ金を出せ、と脅すが、老人がはした金しか所持していないことを知ると、愛犬レッドの頭を吹き飛ばした。
老人、子供、犬、猫・・・どれも殺しちゃいかんだろ。
老人は真新しいショットガンから少年の素性を探りだし・・・

200ページくらいなので、あっという間に読了出来る。どうするんだ、どうなるんだ?と読み進めていくうちに読みきってしまった。
「ケッチャムだから」ってことで異常な期待を寄せていたんだけど、良い具合に裏切られました。
ラドロウの執念とも言うべき愛情には敬服。しかもこの愛情は不条理じゃない。
何故それほどまでにレッドにこだわるのか?徐々に明かされる過去に要因を見て、ますますラドロウに感情移入。
ケッチャム作品の結末としては「地下室の箱」に通じるものがあって、多少戸惑う。
どうにも不条理に慣れてしまっているから・・・・
ファントム〈上〉 ファントム〈上〉
ディーン R.クーンツ (1988/08)
早川書房
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クーンツはキング、マキャモンに並ぶモダンホラー御三家の一人なんだけど、ラストの方向性が好きになれない。

謎に包まれた出だしは好調。不可思議な死の町を、年の離れた姉妹が彷徨う。綽く得体の知れない恐怖。
100ページくらいでやはりキングとの違いが顕著に現れてる。まずクーンツは人物の肉付けがあっさり気味。キングだったら主人公の姉妹のこれまでの生い立ちを、あと20Pは使ってただろうと思う。
それと一文の長さ。これはキングを読みづらい、と判断されることの一つでもあると思うんだけど、キングは一文が非常に長いのだ。
良く言えばクーンツは無駄な肉付けがなくて、スパッと小気味いい文体。
しかし・・キング慣れしていると、なんだか物足りないよと思ってしまう(笑)(まぁそれはどの作家でもキング作品の後に読めばそう思ってしまう・・)
キングの場合、人物は必然で登場してくるけれど、クーンツの場合のそれは偶然と言っても良いほどだ。
登場してくる旧知の人物(のように思わせる)と、著者の都合で新たにポッコリ現れる人物。どちらが良いとは言えないし、賛否もあるように思う。
キングはどうも自然に登場させる為の肉付けが多くて冗長だし、ストーリーが中だるみしてしまうのもそれが一因なところがある。
クーンツはその点思い入れなく登場する人物に後から多少の肉付けをするので、スピード感がある。

キングは現実世界に物語を持ち込む。クーンツは現実とは別に架空の物語を作る。

無人になった町で警察に助けを求めた姉妹。やがてやってきた警察官と共に町の状況を確かめてゆく一行は、むくみ、痣だらけの死体を多数発見する。
膨張しているのに腐臭はせず、恐怖の表情を浮かべる死体。
細菌?伝染病?なんらかの汚染?色々な説が個々の頭に浮かぶけれど、登場人物はみな「怪物」の名は口にしないものの、その人知を超えた存在を感知し始める。
一行をあざ笑うように教会の鐘を鳴らし、街頭を点滅させる「それ」。
「怪物」の存在を一切認めようとしない警官をなぶり殺しにする「それ」。
そしていつの間にか消えている死体、有得ない巨大な生物と、その残虐非道な摂食の仕方。
読み進むうちに今この瞬間、背後から襲われそうな恐怖をたんまりと味わえます。

救世主のように軍の細菌スペシャリスト隊が到着したのもつかの間、ファントムは音も無く忍び寄り隊の大部分を殺害。
骨すらも残らないその殺害方法。そしてファントムの正体を知る人物、ティモシー・フライトはロンドンから現場にやってこようとしている。
フライトは世界中で起こってきた集団殺人事件とファントムとを結び付けていた人物だった。
知能を持ち、町の人間を弄ぶように殺すファントム。コンピュータを使いファントムから人間にコンタクトを取るんだけど、まぁ何て言うかイヤラシイ生き物です。
私はどちらかと言うとこういう怪物は殺戮マシン系の方が怖いんだよね。人間はサイコの方が怖いけど。
意図も作意もなく、本能のままに惨殺して喰う。この方が怖い。

悲しいかな、終盤はデウスエキスマキナ的。
クーンツだから、ってことで結末は見えていたので、生き残るの誰?!って感じで読んでたんだけど、「ホラー・ハーレクインロマンス」ってだけあってヨミ通りの人物が生還。
そして・・・なんだこのラストの安っぽい救いは?!(これが一番憤るぞ)
それまでのファントムの「悪意」そのもののような振る舞いもなかったことになっちゃうような安っぽさ。
ファントムにもやたらと宗教的な「悪魔」を押し付けてるのも気になる。宗教はおいて置いて、純粋な「悪」を描き出して欲しかったなぁ・・・。
でもまぁそうなるとクーンツのクーンツたる意味が無くなってしまうわけで。
ついついキングならこの題材でこの倍は書くだろう、でもケッチャムならこの半分でもっと残酷この上ないだろう、とか考えてしまう。
痩せゆく男 痩せゆく男
リチャード・バックマン (1988/01)
文藝春秋
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R・バックマン名義で書かれた6作(ハイスクールパニック、死のロングウォーク、最後の抵抗、バトルランナー、レギュレターズ)
のうちの1作。
キングは「年に1冊の刊行」に我慢できず、バックマン名義で作品を発表したが、本書がベストセラー入りしたことでバックマン=キングを認めた逸話がある。
(「書けない」って言うのは聞いたことがあるけど、「書きすぎ」で別名義で出版だなんて・・・この人はインスピレーションの枯れない泉でも持ってるんだろうか?)

体重が249ポンド(1ポンド=0.45kg)もある巨漢の弁護士ビリー・ハリックは、あるジプシーの老婆をひき殺してしまう。
シプシーたちの退去を望んでいた町の偉いさんたちは、裁判でハリックを無罪放免に。
安堵のハリックは裁判所の外で鼻が腐れかかったジプシーの老人に「痩せてゆく」と囁かれ、頬をつと撫でられる。
そこからハリックの悪夢は始まる・・・。(しかし約120kgって凄いぞ!アメリカンサイズ?)
ジプシーに囁かれてから、喰っても喰っても着実に体重が減少。妻や娘は怯え始め、もちろんハリックも我が身に起きたこの恐怖に、怯えと共に怒りも感じ始める。
章ごとに減っていく体重、医療で改善されない症状、妻の不安などが入り混じって、女性としては羨ましいほどの「痩せる」描写が非情に恐ろしいものになっている。

放っておいたら死は確実、それも緩慢な死。死ぬまで苦しめ抜ける考えるだに恐ろしい拷問。
このままハリックは痩せゆき衰弱死するのか?老ジプシーの「呪い」は解けるのか?

「呪い」とは、呪われる側にも呼応するものがあってこそ成立する。

ジプシーの呪いに対抗してハリックが行った結末、そして最後の数ページで味わうなんとも言えない味わいはまさにキングらしいラスト。
堕ちる天使 堕ちる天使
ウィリアム ヒョーツバーグ (1981/02)
早川書房
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「悪魔のバイブル」とも称されたウィリアム・ヒョーツバーグの小説。アラン・パーカー監督が映画化した「エンゼル・ハート」(出演:ミッキー・ローク、ロバート・デ・ニーロ)は知ってる人もいるかも?

1959年、ニューヨークの私立探偵ハリー・エンジェルがルイ・シフレ(Louis Cypher)なる人物から、戦前活躍したジョニー・フェイヴァリットと言う歌手を探すように依頼される。
戦争で負傷し長い間入院生活をしていたと思われるジョニーは、15年前に何者かに病院から連れ出され、そのことをひた隠しにされていた。
ハリーが事情を聞いた相手は尽く殺害され、辿る道全てが行き止まりに。
ヴードゥー教の巫女であり、ジョニーの娘と名乗るイピファニーは、自らの身の危険を感じジョニーの行方を聞き込みにきたハリーの元へとやってくる。

ジョニーはどこに居るのか?彼のことをしゃべった人々を殺したのは誰か?ルイ・シフレは何者なのか?
しかし「Louis Cypher」とは・・・(笑)

キングの「軽いけど纏わり憑く文章」に慣れてる身としては、ヒョーツバーグは非情に堅い文なので中々入り込めなかった。
ハリーとシフレや、そのほかの人物の名前、住所の地番など、キリスト教圏の人が見ればもろネタバレっぽい。
でも・・ラストでこれまでバラバラだった全てのピースが合致する描写では、背筋がゾーーーっとした。
原作も映画に劣らず、後味が悪い。(でもこういうの、好き)
ブラッククロス〈上〉 ブラッククロス〈上〉
グレッグ アイルズ (1998/01)
講談社
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軍事サスペンスもの。
ホロコーストということである程度の覚悟は必要だけれど・・やはりどんな内容でも誰が書いても、虐殺場面は眼を覆いたくなる。
ドイツが開発した毒ガス、サリン。それに対抗する毒ガスを持ち得ていなかった連合軍は、毒ガスを製造・研究している収容所を少数精鋭で攻撃することを計画するが、その計画が実行される直前にハインリヒ・ヒムラーの目前でサリンよりも強力な毒ガス、ソマンが完成してしまう。
異なった色の十字で区別される毒ガス。ソマンの弾頭には黒十字が刻まれた。
無差別に選ばれた囚人とユダヤ人を小部屋に詰め込み、数滴を気化したもので数秒間に全員を致死させるソマン。
絶望に苛まれ運ばれてきたユダヤ人たち。理不尽な死と虐待に耐え、彼らの眼には知性も残らない。
ヒムラーが独断で進めているガス攻撃を総督ヒトラーに認証させる為に行われる公開ソマン実験。

登場人物それぞれが行う「正義」と信じる行為。理由付けがなんとなく曖昧なものがあるけれど、一部の理由には強烈なものを感じてしまう。
ここで出てくる収容所は私が今まで読んだモノとは違って囚人をむやみに殺したりはしない。何故ならここは、囚人を開発した毒ガスの人体実験に使うため養っている場所。
しかし慰みに殺されないからと言って、収容された人間に何の希望がある?この問題はいつでも、今、自分が生きている意味を考えさせられてしまう・・・
後半の作戦開始からは怒涛の勢い。やはり定番とは言え「潜入、壊滅」は面白い。
そして結末がどうなるのか、囚人の登場人物は生きのびられるのか、それだけが気がかりで一気読みしてしまった。
時にもどかしい文があるのは本書が二作目だからか?
私個人としてはあまりにも綺麗過ぎる結末でリアルなモノが抜けてしまったような気がしてしまう。
でもこれだけの虐殺を書ききったら、どうしても最後に光を置いてしまうだろう。(ケッチャムなら絶望、キングなら混濁?)
逃げ延びた大多数の囚人の行く末が、現実を物語るのかもしれない。
24時間 24時間
グレッグ アイルズ (2001/09)
講談社
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完全な誘拐をする二人組み、ジョーとヒューイは誘拐の弱点「身代金の受け渡し」と「高額の要求」の盲点をつき、年に一回の誘拐を過去5回成功させている。
そして彼らは、麻酔医のウィル・ジェニングスと妻カレン、愛娘のアビーに魔の手を伸ばす。
彼らの計画は絶対。タイムスケジュールを曲げない。しかし今回は様子が違う・・・下調べの中にアビーの「小児糖尿病」がなかったのだ。
インスリン注射をしなければ、幼いアビーは身代金の受け渡しを待たずに死亡してしまう・・・

ヘンな批評かもしれないけど、アイルズはディーヴァー+(キング÷2)って感じ。展開の早さ、細かい描写、映像的文章。
制御しなかったら、朝まで読み続けられるほどの筆致。素晴らしく面白い。

ジョーたちの「完全な誘拐」の歯車が少しづつ狂いだして、これでもか!と言う早い展開。
小さな綻びが彼らの完全誘拐を揺るがす・・・犯人グループの一人一人が実に人間的で、とくにヒューイには心奪われる。
主犯のジョーは酷く捻じ曲がったバカで、親としては千切って殺したいけれども。
誘拐された少女アビーの優しい心と、逆襲するカレンとウィルが鍵となる。
ともかく現状を打破するためにあらゆるものを使い、知恵を絞り、犯人に立ち向かう姿が印象的。

たった一日で、これだけの状況が起こりうることにも驚愕に値する。
悪意に見初められると平和な生活はかくも無常に崩壊するものなのだ。
ロード・キル ロード・キル
ジャック ケッチャム (1996/06)
扶桑社
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他のケッチャム作品に劣らず、これまたかなり強烈。
幼い頃から小動物を殺し、いつか人を(高等動物を)殺したいと願うウェイン。
ガールフレンドに手をかけようとするが、あと一歩が踏み出せない。しかしある殺人を目撃したために、ウェインは目覚める・・。
初めはDVから逃げる元妻とその恋人の話か?と思ったら、途中方向がそれてしまった。

読んでいてキングの「ゴールデン・ボーイ」が頭をよぎる。
思春期の人一倍の好奇心からホロコーストに執着し、ナチスの生き残り将校クルト・ドゥサンダーを偶然見つけた少年トッドが、執拗にユダヤ人収容所での出来事をドゥサンダーに語らせる。
老人の闇を覗いてしまった少年は、その闇に魅せられ、いつし自身も闇に染まっていく・・・と言う内容の「ゴールデン・ボーイ」と「ロード・キル」のどこがダブるのか?
心の中に持っていた密かな熱望。もしもその対象がいきなり目の前に現れたら?
そしてその熱望が負のパワーを持つものだったら?
このIfを二人(キングとケッチャム)に料理させたら、「ゴールデン・ボーイ」と「ロード・キル」になるのではないかと・・・

しかし本書のラストは怒涛の反則技?
人は憎しみだけで生きているわけではないけれど、ウェインのように何かを「壊したい」欲望もあるはず。
表面に出るか否かの差は有っても。
そういう負の部分では「スカっ」とする(人間性疑われそうだけど)大量殺人でしたね。
但し・・・一般的な見方をすると、かなり危ない感じ。
5人以上の隣人を感情の動きもないままパキュンパキュン撃ち殺す。
撃たれた側も何が起こっているのか、理解できないまま死ぬ。
確かに現実はそんなもんだ。切ないくらいに非常に厳しい現実。
だから生き残った女性と刑事とのやり取りを、最後のシーンを入れなければならなかったんだろうな。
ケッチャム流に大量殺人を書いたなら、出来ればあのシーンは削って欲しかったけど・・・。
辛いものは辛いままでいい。私はラストを無理矢理ハッピーエンドにする安っぽい情は嫌いなのだ。
人は強い。
地獄に居たとしても必ずそこでそれなりの希望を見出すはず。だからこそ人間が書く人間の小説は面白いんだから。
地下室の箱 地下室の箱
ジャック ケッチャム (2001/05)
扶桑社
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200ページほどの短い物語の中に、恐るべき悪夢が潜む。

女教師のサラは恋人のグレッグの子を身ごもった。愛するグレッグには妻と子がいる・・・愛人という立場のサラは、二人で話し合った結果、中絶を決意。
ニューヨークの医院での手術当日、サラは医院の前で何者かに連れ去られ、地下室に監禁される。
サラは全裸で拘束され、拉致の首謀者と思われるスティーヴンに際限のない暴行を加えられる。

「どうしてあんたなのかって?もうすぐ赤ん坊を産むからだよ」

「隣の家の少女」読了後に読んだので、期待がいっぱいだったけど・・・・・あの衝撃は味わえませんでした。(残念)
残虐なシーンに慣れたわけではなく、暴行の描写が詳細に及ばない(ぼやかしている描写が多い)ので、数ヶ月の監禁・暴行という恐ろしい出来事が、終末にはあまりその恐ろしさを感じられなくなっている。(だたサラの恨みだけは良く分かる)
その分読みやすさは増しているかも?でも・・普通の人だったらきっととても読み進められるモンじゃないな(笑)

屈辱や服従に慣れていかざるを得なかったサラ。しかし首謀者の夫婦は次第に監視の手を緩め、サラを掃除や家事などの為、地下室から階上に上げる。
そして屋根裏部屋であるものを見たサラは、脱出を決意する。

なぜもっと速くに決行しなかったのか?は愚問。

サラが屈辱に耐え、理性を失わず冷静に観察した長い月日があったからこそ、彼らの隙を突けたのだから。
母は強し、と言うけれどサラは本当にタフだ。
自分が同じ立場だったら「服従はするけれど心まで売り渡さないぞ」と言う姿勢が保てるかどうか、考えさせられる。
隣の家の少女 隣の家の少女
ジャック ケッチャム (1998/07)
扶桑社
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キング絶賛!!という期待の一冊、最初は「アトランティスのこころ」ばりに少年の淡い恋心や思春期への成長といった、なんとなく甘酸っぱい感じで始まったのだが、途中から徐々に変わり・・・人間の狂気が原色で彩られてる〜。

「僕」デヴィッドと仲の良い兄弟とその母が住むお隣さんのチャンドラー家へ、両親を交通事故で無くしたメグとスーザンの姉妹が引き取られた。
美しいメグに興味を持つデヴィッドは、いつしかチャンドラー家の人々がメグを虐待していることに気づく・・・。
エスカレートしてゆくチャンドラー家の人々の虐待とその思考が非常に怖い。この虐待場面は結構続くのだが、主人公の心理が変わっていくのも現実味があって怖い。
最初は驚き、同情、哀れみ、そして興奮、怒り・・・恋心を抱いてたメグに対して、最後は怒りまで覚えてしまう心理変化は、虐めの構図として背筋が寒くなる。
子供の持つ残酷さは言うまでもないが、この作品で虐待に関わるチャンドラー家の母、ルースが本当は一番恐ろしい。
本書の内容を嫌う人は多いと思う。(特に想像力がないとただの虐待小説なので)けれど私は勇気を持って言うぞ!このホラー(ホラーなのかな)は面白い。

巻末でキングが熱のこもった解説をするのだが、キングが推すだけのことはある。
文章が端整で無駄がなく、キングと同じように描写がビジュアル的。次第に精神を冒されてゆくルース・チャンドラーの台詞の推移もいい。結末も苦くやるせなくて・・
こういう小説は決して一般受けするものではないと思う。現実味あふれる恐怖を感じてしまうから。小説に何を求めるかによって、本書の賛否は分かれると思う。
神の狩人〈上〉 神の狩人〈上〉
グレッグ アイルズ (1998/08)
講談社
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正体の見えないサイコな犯人の犯行が報道され、犠牲になった有名作家女性が会員となっていたネットワークのシスオペ、ハーパー・コールが業務規則を侵して警察に通報したことから、全米で起きている個々の殺人事件が一つに結ばれる。

犯人、コールそれぞれが一人称で書かれ、何を考えているか見えない犯人と、妻にさえ言えないある苦悩を抱くコールの細かな内面が良い対比になっている。
主人公のキャラが際立ってて展開も早く、そして分かりやすい。主人公以外の登場人物、FBIの精神科医レンズ博士、コールの友人で天才プログラマーのマイルズ・ターナー、コールの妻ドルーとその妹エリン、それぞれが生き生きしてる。
「作者の意図で動かしてるぞ」的キャラが居ないのがいい。この手の話を読みすぎてるからか、こういう意図で動かしてるだろ?とか読みが当たってしまう事もしばしばで、(あくまで)私の予想斜め上を行く展開にはシビレるのだ。

ただ一点、犯人がちょっと超然としてて鼻持ちならないのがヤな感じ?もうちょっとだけ弱い面が出ると尚グっとくるのだが・・・(注文多すぎ)

しかしラストの展開は目を見張るものがあった・・・あれを途中で止めて寝たり出来ないって!と言うくらい凄かった。
追いつ追われつの展開、言葉の応酬、罠、夫婦愛が巧妙に絡み合い、個人的には「ボーンコレクター」以来の傑作?

1000ページを二日で読破、読後に興奮状態で眠れない、なんていう読書が出来るって至福。
悪魔の涙 悪魔の涙
ジェフリー ディーヴァー (2000/09)
文藝春秋
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FBIを引退した筆跡鑑定の第一人者パーカー・キンケイド。その彼に、ワシントンの地下鉄で起きた銃乱射事件の犯人からの脅迫状の鑑定要請が来る。
ところがその脅迫状を書いた犯人は、ひき逃げされ死亡してしまう・・次の犯行予告までに銃乱射実行犯である「ディガー」を止められるのか?!
リンカーン・ライムもちょこっと出ていて嬉しい限りですが、展開がまさにJ・ディーヴァー的。とても面白いんだけど、この人の作品は悪い見方するとワンパターンなんだよね(笑)。
英語で書かれた文章を見て、書いた人物像を探り当てるシーンがあるけれど、英語が分からないこちらとしてはどうにも分かり辛い・・。細かいことを抜きにすれば、楽しめる読み物。
ディーヴァーらしく、犯人の感情の描写は秀逸。キングと違い超自然現象の怖さではなく、人の精神の崩壊や心の闇を上手く書き出していると思う。
この人のお得意の書き方で、「犯人を捕まえる」展開と「キンケイドの家庭の問題」と「もう一つの事件」の三つが上手く絡み合って、息もつかせぬ展開と大どんでん返しが待っている。
眠れぬイヴのために〈上〉 眠れぬイヴのために〈上〉
ジェフリー ディーヴァー (1998/05)
早川書房
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ある事件を起こして、犯罪者精神病院に収容されている男ルーべックが、自殺を図った別の囚人になりすまし、死体袋に入って脱走を図る。
この男が起こした事件の重要参考人として、裁判で証言した女教師リズと弁護士の夫が、嵐の迫る湖のほとりにある自宅で妻の妹と何年かぶりで出会う。
ルーべックを収容していた精神病院の院長、アドラーは部下と共にルーべックの脱走がなぜ可能だったのか、真相の究明を急ぐ。
一方そのアドラーと対立する精神科医コーラーも、執拗にルーベックを追う。
アドラーに依頼された警察が、元警官のヘックに依頼し、ルーべックが脱走した地点から犬を使って追跡を図る。
このいくつもの側面が交互に書かれ、前半はちょっとめまぐるしい感じ。
嵐とサイコさんと湖。こりゃーいい舞台だ。この作品をキングが絶賛した理由が、ちょっとだけわかった気がする(笑)

しかしディーヴァー、相変わらず「元○○」が好きだなぁ。ま、この作品は初期のものなのでもともとそう言う設定が好きだってことかな?

ルーベックを追うコーラーとヘックが偶然現場で出会い、一方、リズの夫オーエンがアドラーとハヴァシャム刑事に会い、ルーベックの逃走路が自宅と離れていることを確かめ、やはり彼もルーベックを追う。
狙われた女性、狙う男、それを追う男達・・・図式はシンプルだが、追う男達が多すぎ。
そのせいで、物語の進みが散漫になっているように感じる。
が。中盤以降ダレ始めたあたりで、鍵となるある事件をリズが語りだし、後半にそれまで別々に進行していたそれぞれの追跡劇がまとまり、俄然スピードが増す。
そして驚愕の事実が次々に明かされ、一気にラストスパート。
前半をもう少しシェイプしていたら、かなり良い線いってたかもしれない・・・それくらい、ラストは素晴らしかった。
精神異常のルーベックの真意、妻を案じ、ルーベックを追う夫オーエンの真意、そして妹ポーシャにまで言えなかったリズの秘密・・・
どうやら本作から、ディーヴァーの持ち味が後続の作品に色濃く出ていったようだ。

正しい評ではないかもしれないけど、キングの作品をいくつも詰め込んで出来たような印象を受ける。骨の袋、ローズ・マダー、グリーン・マイル・・・(ねちっこさが比じゃないけどね)
ウォッチャーズ〈上〉 ウォッチャーズ〈上〉
ディーン・R. クーンツ (1993/06)
文藝春秋
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人生に絶望しているトラヴィスは、子供時代を思い出すために行った森で汚れたレトリーヴァーを見つける。
何かに怯え、トラヴィスを森の外へと連れ出そうとする犬。
言われるがまま(?)に森を後にするが、トラヴィスはこの犬に人間の言葉を理解する能力があるのではないか?と疑いを持つ。
徐々に能力を明かしていく犬に、トラヴィスは「アインシュタイン」と名づけた。
いくつかの関連のなさそうな筋が章ごとに語られて、それぞれがやがてカチっとハマる。
偏った物の見方と頑固な人嫌いの叔母に虐待するよう育てられた姪のノーラ。彼女に言い寄る電機工員のいやらしい男。
アインシュタインが居た森近くに住む男。同じ繋がりを持つ人々を依頼されて暗殺する男。暗殺現場の捜査をする保安官と、彼の持ち場を国家機密を持ち出し奪い去る親友のエージェント。
そして森に蠢く密やかな、そして獰猛な影・・・
ノーラの危機一髪を救ったアインシュタインとトラヴィスは、ノーラが美しく聡明なことを知る。
ノーラとトラヴィスは急激に(でも優しく静かに)接近し、2人はアインシュタインの能力をある方法で測ることにする。
イエスなら吠えろ。ノーなら尻尾を振れ。
この合図と犬が興味を示した雑誌や写真や絵を元に2人はアインシュタインの秘密を知ることになる。

いくつもの筋で登場する人物が魅力的。(叔母とノーラの話はそれだけでもうひとつ話が書けそうだ)

アインシュタインが恐れていたもの、それは彼の双子だった。(双子って言ったらちょっと語弊があるかも・・)
アインシュタインが造られた研究所には、彼とは別に、生きる兵器として遺伝子を組み替えられた「アウトサイダー」が居た。
醜い容貌、武器となる四肢。そして知能を持つアウトサイダーは自分が醜いことを、人々が自分を忌み嫌っていることを知っている。
そんな彼とは対照的に研究所の人々に愛され、可愛がられてるアインシュタインは、アウトサイダーにとって猛烈な憎悪の対象だった。
もちろん自らを勝手に作り出した人間達にも、果てしない憎悪を燃やす。

それぞれ別の筋が絡み合い、相乗効果をもたらしながらラストへ進むのだが、特に注目していた「暗殺者」の話は、まるで踏み台のようにあっさりしてしまったし、ラストも大いに予想できる。
クーンツと言うこともあって、ラストはハッピーエンド。キングだったらトラヴィスとアインシュタイン、アウトサイダーの運命はまた違ったものになっていたろう。(ついでに最初に登場したシーラにちょっかい出す電機工員も絡んで着そう)
途中追う側のアウトサイダーの臭気が薄れるのも、追われる焦燥感を欠いている。

私にはアウトサイダーが非常に不憫な生き物に見える。彼の残虐な殺戮の描写を散々見せられても、同情を禁じえない。
追う臭気が薄れるその空白に、アウトサイダーは言葉を喋れる(!)までになったのか、と思うと、その悲しみの深さ、切ないまでの絶望感に同情してしまうのだ。
ただの兵器として作られた知能ある獣が、人の手を借りずに文字を覚え、発声を覚えしゃべれるようになるまでの努力は並大抵ではないのでは?
彼が最後に言う言葉は

「殺してくれ」

泣けた。

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ザ・スタンド 1 ザ・スタンド 1
スティーヴン・キング (2004/04/07)
文藝春秋
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ハードカバーは上巻だけでも790ページ、その重さときたら・・寝ながら読むのに不適切この上ない。

最初の作品がアメリカで発表されたのは1969年のこと。その後、何回かの改定を経て、1978年に刊行されたが、キング自身の手で大幅に削除されている。
その12年後の1990年に削除した部分を追加した「完全版」の本書が発売。それでまた、翻訳までに時間が掛かってる。(翻訳本発行は00年11月)

舞台はアメリカ全土。
軍の施設内でウイルスがなんらかの要因で広がり、軍人の一人がそれを知り隔離される前に逃げ出したことから、アメリカ全土にウイルスが広がっていく。
この超悪性のウィルスにより、死者が続出する。このウィルス、死亡率が99%というだけでなく、空気を通して、ごく短時間で感染するのだ。
ちょっと風邪ぎみかなと咳き込んだその日のうちに死に至ることも少なくなく、全米でほとんどの人が死に絶えてしまう。
しかし、中には患者や死者と接しているにもかかわらず、生き残る人々もいた。
生き残った人間には3通りの道があり、それらの人々は例外なく悪夢に魘される。
トウモロコシ畑の側、年寄りの黒人女性がギターを爪弾き、「此処に来い」と言う夢。
そして顔のない男、黒いフードの闇の男が迫る夢。
感染を免れた人々は夢に導かれるようにそれぞれの道を歩み出す。
しかし一番恐ろしいのは、感染を免れながらも、それ以外の病気、もしくは災難で命を落とす人々の描写。
あるものは破傷風で、あるものは幼いがゆえの飢えで、あるものは身を守るはずの銃の暴発で。

キングの書く世界は(ジャック・ケッチャムもそうだけど)、限りなく私の趣味に合う。
愛を根底に湛えるかどうかは別としても、「悪意」や「ただそこに事実があるのみ、救済はない」にシビレる。
途中本のカバーがズリ落ちてしまうくらいの分厚さ、重さ、その読みづらさ(笑)に反比例して、物語は秀逸。
内容に容赦なく引き込まれる圧倒的な筆致。
細かい描写で登場人物の一人一人が、まるでスポットライトの元に姿を現すように、頭の中で鮮明に浮かぶ。
登場人物がいかにも身近っぽいのが恐怖心を煽るんだよね。
中盤で徐々に滅亡していく文明と人類の描写が、主人公を変えて語られているばかり、と言う進展が無くなる部分が少しつらいところだけれど(キングは中だるみがあるんだよなぁ)、でもそうは言っても「面白くない」わけではなく、逆に真に迫る内容になっている。

人口の99%が死滅してしまった時、宗教を信じる人が居るだろうか?人類を見殺しにした神に救いを求めるだろうか。
既にある宗教観念の「神」と「悪魔」ではなく、純粋な「善」と「悪」を描き出し、下巻では「指輪物語」を彷彿とさせる。モルドールのオルドルインに向かうフロドとサムのそれに。
おまけにスタンド版ゴクリの「ごみ箱男」もちゃんと登場する。
終末の世界がその後どうなったのか?フラッグとの対決の結末は?
その答えは、フランシス・ゴールドスミスが語る。

「わからない」

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オフシーズン オフシーズン
ジャック ケッチャム (2000/09)
扶桑社
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ジャック・ケッチャムの衝撃の長編第一作。
ずばり食人鬼の話なんだけど、カニバリズムと言うと、まずレクター博士を思い浮かべる私。が、ここで登場する彼らは(複数なのだ)レクターのように優雅ではない。あくまで粗野な彼ら一族の所業には旋律を覚える。

ケッチャムの表現しているこの小説の世界観は、日ごろ私が選別している小説を読むときに感じるものと同じなのかもしれない。
善と悪の規格は無い。それは一個人が判断できるものではないのだ。人は偏見に満ち満ちている。
神や悪魔等といった宗教的なものではなく、人間の本能が書かれているこの小説に平凡な感想は似合わない。
食人族のファミリーに襲われる都会の男女。無意味に襲われている都会人にとっては食人族は悪、しかし獲物として都会人を襲い食することは食人族にとっては善だ。
攫われた都会人を救うため、食人族の巣食う洞窟にやってきた警官も、一方では悪、一方では善。
食人族は粗野で確かに好きにはなれないけれど、彼らの習性や伝統を考えると(第三者として)読んでいる私は都会人の味方だけは出来ない。
見方によってはまったくこの本を受け付けない人が多いだろうと思う。

どうして彼らが人肉を食らうようになったのか、一切の説明はない。サイコ好きな私としては物足りなく思うところが、この小説に対してはそうは思わなかった。
余計な説明は要らないのだ、彼らは「人」ではないのだから。

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レッド・ドラゴン 決定版〈上〉 レッド・ドラゴン 決定版〈上〉
トマス ハリス (2002/09)
早川書房
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あのハンニバル・レクター博士が始めて登場したトマス・ハリスのサイコスリラー。
私は順番どおりではなく、「羊たちの沈黙」「レッド・ドラゴン」「ハンニバル」の順で読んだのだが、「ハンニバル」とは違い「羊・・」と同じ手法で、サイコな犯人をFBI捜査官が追う形になっている。
「羊たちの沈黙」でレクター人気が出てしまったので、この「レッド・ドラゴン」もレクター一色だと思う方も多いとは思うのだが、本書ではレクターは前面には出てこない。
もちろんキーマンとはなっているが、あの異常性を前面には出して居らず、どちらかというと計り知れない怪物として描かれている。そしてこの当時からとても魅力的な存在。
「レッド・ドラゴン」はレクターではなく、サイコな犯人フランシス・ダラハイドとFBI捜査官ウィル・グレアムが主軸として書かれている。レクター抜きでも非っ常に面白い。

二家族が共通の犯人と思われる人物に惨殺され、レクター逮捕後FBIを退職していたウィル・グレアムは、FBI行動科学課長クロフォードに依頼をうけて捜査を開始。
でもサスペンスではないので、犯人は読者には初めから明かされている。この物語は犯人探しが主体ではなく、あくまでもウィルと、『ウィリアム・ブレイクの「大いなる赤き竜」』に見せられた男、フランシス・ダラハイドとの対比。

異常なほど映像的な記憶を持ち、犯人の気持ちを自分に同化できるウィル。しかし優しい彼は、「憎き犯人を追う自分」と「その犯人と同化できてしまう自分」に迷い悩み、精神まで病んでしまう過去が。
一方ダラハイドは、兎唇のため母親に捨ててられ、厳格な母方の祖母に育てられる。歪んだ愛情を持つ彼の心を大きく揺さぶったのは、ウィリアム・ブレイクの「大いなる赤き竜」。その絵を見たとたん、彼は自分が何をすべきか悟る・・・。
猟奇的な殺人を続けるダラハイドは、盲目の女性レバ・マクレーンと出会い「竜」の声に怯え始める。そして「竜」を抑えるために彼が取った行動とは?

異常性と繊細さを持つこのダラハイドが、怖いというより非常に悲しい存在になっている。

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ミザリー ミザリー
スティーヴン キング、矢野 浩三郎 他 (1991/02)
文藝春秋
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作家ポール・シェルダンは自身のベストセラー作品の「ミザリー」シリーズを完結させ、新しい原稿を書き上げた直後、雪道で自動車事故を起す。
半身不随になった彼は、元看護婦で「ナンバーワンのファン」と言うアニー・ウィルクスに助けられる。
暴力的かつ性的描写が多用されたミザリーシリーズにウンザリしていたポール。
彼がミザリーを完結させた、と知らずに看護するアニー。
「ミザリー」完結編が出版され、それをアニーが読み終えたあたりから、ポールの地獄が始まる・・・

90年に公開された映画「ミザリー」(ロビ・ライナー監督、出演:キャシー・ベイツ、ジェームズ・カーン)の方をご存知の方が多いかも?
でもこの作品、絶対に原作の方が怖い。(映画は不覚にも『アニー、可愛いとこあるじゃん』とか思ってしまった)

雪に閉ざされ、狂気の看護婦に常習性のある薬を与えられ監禁される恐怖。
一度葬った作品を復活させなければならないジレンマ。
アニーが圧倒的な優位に立っているにもかかわらず、ポールは果敢にも状況を打破しようと何度も試みる。その緊張感がタマラナイ。
エスパーも超自然現象もなし。が、やはり一番怖いのは人の持つ狂気だ、と言うことをまざまざと感じられる作品。
是非一読を。

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ファイアスターター (上) ファイアスターター (上)
スティーヴン・キング、深町 真理子 他 (1982/09)
新潮社

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苦学生だったアンディは200ドルのため大学で薬物投与実験を受けた。
同じ実験を受けたヴィッキーという美しい女性に心を惹かれながら。
実験はCIAの下部組織<ザ・ショップ>によるもので、二人はサイコキネシス能力を密かに開花し、<ザ・ショップ>にその能力を悟られないまま、結婚する。
そして彼らの娘チャーリーはパイロキネシス(念力放火)の能力を持って生まれてきた。
実験の結果を隠蔽しようとするザ・ショップは隠れ逃げる親子を執拗に追い回す・・・。

のっけからハラハラドキドキの追跡劇で、惹きつけられる。投与実験後のトリップ状態(?)の描写がいい。文字を追うだけで読む側もトリップする感じ。それに追いつ追われつって展開も読みやすくていい。
能力と年齢の違いからか、「デッド・ゾーン」のジョニーほどの悲哀はチャーリーには感じられない。けれど8歳の少女にとってこの能力の重みは計り知れないものがある。
それにしても巻末のあとがきにもあったように、キングは「ありそうも無いこと」を「もっともらしく書くこと」が非常に上手い。
読んでいる間は念力放火という能力が「ありそうもないこと」などと一度も思わなかったもんなぁ。
この作品には数々の作家がオマージュを捧げているけど、知りうる限りキングに及ぶ作品にはお目にかかったことが無い。
初期にしてこの筆致、ベストセラーは伊達じゃない。

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ドリームキャッチャー〈1〉 ドリームキャッチャー〈1〉
スティーヴン キング (2003/01)
新潮社
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ネタバレな文章を撒き散らし、それでもまったく予想できない結果が小出しに出てきたり、ねちねちとした文章もキング的。
序盤は主人公である幼馴染の4人の近況が詳しく書かれ、彼らが年に1度の「11月の狩猟」を楽しみに待つ様子が分かる。
今回も舞台はメイン州。4人それぞれの事情、そして彼らの小さな不思議な能力や過去が見え隠れする。
「グリーンマイル」なんかもそうだけど、こういう伏線がキング作品には多くて、一度目はああ、あれってコレを示唆してたのかぁ、とビックリし、二度目は伏線探しを楽しみ、と再読するたび発見があったりするのが嬉しい。

途中まで読んでやっぱりビリビリするのは、キング節。私がシビレるキングの言い回し(訳も多いに関係あるが)は、主人公のひとりが森で熊に出会った時の描写、
『メイン州北部の広大な山林内で自分の地位にまつわる幻想が、生まれて初めて完膚なきまでに剥ぎ取られた。いまの自分は、たまたま呼吸しているだけの旨味をたたえた白っぽい肉塊にすぎない』(白石朗訳)
と言う部分。こういう描写が随所にあって、普段(私が勝手に)頭で思うことを明確に文章にしてのける筆致が心をがっちり掴むんだよねぇ。(鷲掴み)
私が好んで繰り返し読む本には、必ず一箇所は感銘を受ける文章があるんだけど、キングは一箇所だけじゃあないのだ。

過去の話を現在の進行に差し挟むように語り、過去の全容が見えないもどかしさ。
後半部分では時空が入れ替わり、これまでのキング作品を総動員したような、かなりの力作。
主人公がいったい誰なのか、もう分からなくなってくるし、次の展開がまったくよめない。
冒頭から小出しに触れられる話がやっと終盤に来て始まるあたり、キングらしい。ある少年と4人の思い出も、状況にリンクして過去が未来を握る鍵になり、一行たりとも見逃せない。

結末として不条理を予想していただけに、ちょっと外された気もしたが、このラストが一番なのかもしれない。
『クソは変わらず日付が変わる』〜same shit different day〜

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不眠症 (上) 不眠症 (上)
スティーヴン キング (2001/06/26)
文藝春秋
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スティーヴン・キングのいろんな作品のごた混ぜ感が・・ファンとしては嬉しいところ?
舞台はお馴染みのデリー。
主人公ラルフの妻は脳腫瘍を患っている(グリーンマイルの刑務所所長ハルの妻も同じ病だった)。
隣人のエドは「クリムゾンキング(真紅の王)」などと口走る(暗黒の塔)。
デリーが舞台ってことで「IT」の登場人物もちらほら出てくる。
エドが起こすDVは「ローズ・マダー」のよう。
これで宇宙船が絡んで、霊とサイコさんがくれば完璧!・・・はぁ〜まったく好きじゃなきゃ読めないかもね、コレ(笑)。

主人公ラルフの不眠は「まったく寝られない」モノではなくて、「睡眠時間が徐々に減る」モノ。
5時まで寝られたものが、4時になり、3時になり・・ついに2時台にまで短縮されてしまう。
そしてラルフは奇妙なものを見るようになる。
人々の体から発せられる色とりどりのオーラ。そして頭頂部から上がる「風船紐」のような筋。
淡い白色のものもあればどす黒いものまで、個々に違うオーラがラルフの目に飛び込んでくる。
DVで逮捕されたエドが冒頭に口走っていた台詞がここにきて狂人の戯言ではなくなってきた。そうエドもまた「色」を見ていたのだ。

やはりキングは上手い。冒頭エドが「色彩」が見えるとかクリムゾンキングだの口走ってる時は「妖しい・・」と思わせるんだけど、ラルフがオーラを見る時にはそれもありかも?と思える。
ラルフの性格や行動を読み進んでいる読者は、ラルフが狂ってるとは思わないからだ。
ゲイ、レズ、DV、中絶問題、かなり重いテーマを折り込みながら展開していく本書。
でも普通に書いたら上巻半分まではあっさり終わりそうなのに、そこはキング、細かいエピソードにも骨と肉をつけ、単調になりがちな話を飽きさせない。
いつもの如く謎は謎のまま、まったく明かされずに霧の中を進むような展開が良いし、話の方向がどちらに向く(SF?ファンタジー?サイコパス?)かがまったく分からないのだが、そこがまた面白い。

後半、複数に展開していた話がまとまりだし、数々の伏線が明かされてクライマックスに近づくもんだから、栞を挟むどころじゃあない。
なるほどコレはこう言う訳か、ではアレは?!の連続。しかもハッピーエンドで終わっても良いところを最後にもう一捻り。
しかし・・この「不眠症」を「ダークタワー」の一環として読まずに単独で読んだ場合は・・・
面白くないし何言ってるのかサッパリ、かもしれない・・

本書を読んで確信したのは、私が思う「善」「悪」と「神」「悪魔」は、キングのそれと同じなんじゃないかな、という事。
前々から(勝手に)言ってることだけど、「神」という存在はやはり不条理以外のナニモノでもない、と私は思う。だけどそれが「善」の話になると別。
宗教的な「神」を超越した「善意の意図」と宗教的な「悪魔」を超越した「悪の偶然」。
キングは私が思うようなことを意図して書いて居ないかもしれないけれど、私はこういったモノを感じ取ってしまう。

キングファンなら、「ダークタワー」が完結した今、是非この「不眠症」と「ローズマダー」「タリスマン」「ブラックハウス」合わせて再読を。

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ジェラルドのゲーム ジェラルドのゲーム
スティーヴン キング (2002/09)
文藝春秋
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舞台はキングお得意のアメリカ、メイン州。湖畔の別荘でジェラルドとジェシー夫婦がなにやら妖しいプレイを・・・。
辣腕弁護士のジェラルドとジェシーは40才目前で倦怠期。ジェラルドはセックスに緊縛プレイを持ち出し、最初は容認していたジェシーだが、スカーフからロープ、手錠にまで発展したそれに嫌悪を感じるように。
縛られながらのセックスについに耐えられなくなり、ジェシーは夫に訴えるが・・。ジェラルドは「拒むのもプレイのうち」とジェシーの気持ちを理解しながら黙殺し、ことに及ぼうとする。(まず、縛るな、と言いたい。どうしても縛りたいなら相手にちゃんと確認しろ、馬鹿め)
耐え切れなくなったジェシーは彼の急所を思い切り足蹴にし、太り気味で酒飲みだった彼は、それをきっかけに心臓発作を起こし、ジェシーは両手を手錠でベッドにくくり付けられたまま、シーズンオフの別荘に一人残されてしまう。

一部、あまりの描写に本を読みながら卒倒しそうになった。これほどまでにリアルでエグいシーンが書けるものなのか?初めてとばし読みしようかと思ったくらいに、凄い内容だった・・・。
キングが苦手な人には絶対にこの本は薦められません(「ドロレス・クレイボーン」とリンクした描写があり、キング好きには嬉しいところもあるんだけどね)。