ペンシルヴァニア州スタトラーの警察署のガレージに収まる、ビュイック8。
サンディ(分署長)が殉職した警官の息子ネッドに語る、一見ピカピカのクラシックカーに見えるビュイック8にまつわる話は、たくさんの謎と秘密を含んでいた。
読み終わったものの、なかなか感想が書けず・・と言うのも、これまでのキングのネチっこさも、期待を盛り上げる語りも、血湧き肉踊る理不尽な(時として破綻している)展開も、無いように感じられたから。本を開く時間をワクワクしながら待つ、というような事がないまま、アッサリと読了してしまった。
これまでのこういった作品の語り手は、一種使命感めいたものを持っていたのにサンディにはそれが感じられないからだろうか?
ビュイックに魅せられたネッドの父カートなら、もっと微熱を帯びた狂気の視点で語ってくれただろうか?
でもきっと、キングはそう言ったモノではなく、もっと違ったものが書きたかったんだろうと思う。ただ受け手の私がまったく別の期待をしてしまったんじゃないだろうか。
ビュイック8の謎のように、人生には答えの出ない問いがある。むしろたったひとつの、ゆるぎない答えの出る問いの方が少ないのに、人は答えを求めようとする。
若ければ若いほど、確たる答えに固執してしまう。でも、サンディほどは生きていないにしろ、私にも分ってきたことがある。正しい答えなど無いのだ。
帯の「グリーン・マイル」や「スタンド・バイ・ミー」で釣るような謳い文句や、先入観からくる「クリスティーン」の焼き直しのような物語を期待する思い込みを全部放り出して、もう1度読み直したら別の感想が出てくるかもしれない。(とにかくあの帯はヤリすぎだ(笑))