30代半ばの作家マイクの妻ジョアンアは、ドラッグストアの駐車場で突然倒れた。悲しみに暮れるマイクは妻の最後の買い物の中から妊娠検査薬を発見する。
彼らの間には子供がなく、司法解剖で妻が妊娠していたことが発覚する。更なる悲しみに暮れるマイクは疑問も持ち始める・・どうしてジョアンナは一言もそれについて話さなかったのか??
妻の死後4年経っても、執筆出来ないマイクは、妻との思い出が詰まる別荘「セーララフス(セーラは笑う)」へ行く決心をする。
本書では作中なんども、ダフネ・デュ・モーリアの「レベッカ」の一文が繰り返される。
「昨夜私はまたマンダレイへ行った夢を見た」
この「レベッカ」は、イギリスの有名な貴族マクシミリアン・デ・ウィンターのもとへ後妻に入った「わたし」が、彼の所有する邸宅「マンダレイ」でそこかしこで感じる溺死した前妻「レベッカ」の影に付きまとわれる、繊細で女性らしい心理を巧妙に書いた名作。意味深です。
レベッカといえば、その中に私の好きな文がある。
「幸福というものは、あがなうことのできる持物ではなくて、一つの思考の性質であり、心の状態である」そう、しあわせってこういうことなんだよね。
骨の袋とは物語中に出てく登場人物のことだとキングは言う。現実の人間と比べると、小説の人物は所詮骨の袋だ、と。
霊的な描写満載なのに、読後は意外に爽やか。普通なら引いちゃうくらい霊的現象がてんこ盛りだけれど、そこはさすがキング、ぐいぐい読ませる。
ただ文字を追っているだけなのに、これほどまでにまざまざと情景が頭に浮かぶ文章を書けるのって凄い。
私にはマイクの顔も、セーララフスも、幼いカイラの愛らしさも手に取るように分かる気がする。
それが私のキング好きたる所以なのかも。